民泊の歴史と今後の展望

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1:民泊への不動産投資について
この項目では「民泊とは何か」といった基礎知識から、民泊ブームとブーム収束の経緯をご紹介します。主にコロナ前後の世相の変化に大きく影響を受けた業界のため、流れを追うことで民泊について俯瞰的に理解できます。

1-1民泊への不動産投資とは
民泊とは、住宅やマンション・アパートの一室を宿泊用に貸し出すサービスのことを指します。
利用者は外国人観光客を中心に、国内の旅行客や出張中のサラリーマンなどが当てはまります。
利用者の宿泊料が売上となり、民泊開業のための物件購入代や設備投資が初期費用、家賃や清掃代金が運営費用となります。
物件によっては一泊あたりの宿泊料を1万円以上に設定することも可能であり、稼働率が高い物件であれば一般的な不動産投資よりも高い売上を見込めます。
たとえば宿泊料が2万円、年間の稼働率が50%の物件であれば、月間の売上は「2万円 ✕ 30日 ✕ 0.5 = 30万円」となり、家賃10万円の物件よりも高い売上となります。
一方で、一般の不動産投資とは異なり、民泊の利用者が現れなければ収入は0円となります。
物件に住むという需要は無くなりませんが、民泊の需要は流行や環境に大きく左右されるため、民泊経営は一般的な不動産投資と比較してハイリスク・ハイリターンであると言えます。

2:コロナ前に民泊が流行った理由
2010年代に民泊が流行った背景には、日本のインバウンド需要の増加と地方への旅行ブームがあります。
日本に初めて訪れる外国人観光客に人気の観光スポットは、浅草や京都などの大都市が中心です。
一方で、二回目・三回目と旅行を重ねる外国人が増えるにつれ、温泉街や離島、白川郷や富士五湖といった自然を感じられる地方が人気の観光地となりました。
こうした地方の観光需要の増加に合わせ、地方のホテル・旅館不足が浮き彫りになりました。
しかし、ホテルや旅館の新規開業には多額の初期投資や従業員の雇用が必要になるため、参入障壁が高く宿泊施設不足は中々解消されません。
そこで、住宅を宿泊施設として貸し出す民泊という仕組みが、旅費を安価に済ませたい外国人の需要とマッチする形で日本国内でも注目され、Airbnbなどのサービスの浸透とともに拡大する形となりました。

3:民泊に対する法整備と環境の変遷
民泊業界の活況と共に、民泊の利用者と住宅地の住民間での問題が次々と明らかになりました。
多くの場合、一般的な住宅の一部を民泊として利用する形態が主流となっており、そのために民泊宿泊者と通常の居住者が壁一枚隔てて生活することとなります。
外国人旅行者が主な宿泊者となる民泊では、騒音問題やごみの不適切な処理などから近隣住民に対する不満が増えていきました。
さらに、一部の民泊では、住宅利用のみを許可されている物件を許可なく民泊に使用し、これが物件の借主と所有者や管理会社間での紛争を生むこともありました。
このような事態に対処するため、2018年に「民泊新法」が施行されました。
この法律により、特区以外の地域での民泊の営業日数は年間180日を上限とされました。
これにより、民泊の運営者は残りの185日を自宅として使用したり、マンスリーマンションとして貸し出すなど、新たな運用方法を模索する必要がありました。
民泊新法による営業日数の制限や新型コロナウイルスによる観光客の減少などの影響を受け、民泊業界の熱は、徐々に沈静化してきました。

4:コロナ禍を経ての民泊投資のメリット
民泊ブームの到来とその沈静化を踏まえて、コロナ後の民泊投資のメリットについて説明します。
外国人観光客の増加だけでなく、新しい働き方であるワーケーションや大規模イベントである大阪万博への注目が集まる要素についても触れていきましょう。

4-1:コロナ収束後の訪日外国人需要の増加が見込める
2022年6月時点で新型コロナウイルスの影響は完全に消えたわけではありませんが、ピーク時と比べて新規感染者数は大きく減少し、収束の兆しを見せています。
テレワークからオフィスへの通勤が復活し、人々の社交活動も徐々に再開しています。
このような状況から見て、コロナウイルスの終息後には外国人観光客の数が再度増える可能性が高いと考えられます。
JTB総合研究所の「観光データ速報」によれば、2022年4月の訪日外国人数は前年同月比10倍以上の139,500人に上りました。
これらのデータから、コロナ収束後の民泊需要の再燃が十分に予想されます。

4-2:ワーケーションの需要が増加
ワーケーションとは、休暇を取りながら観光地やリゾート地でリモートワークを行うという働き方を指します。
新型コロナウイルスの影響で自宅に閉じ込められたストレスの解消や、地方創生・国内旅行の推進を目的として、官民一体で推進されています。
コロナウイルスの収束を見越して企業がワーケーションを推進する動きは鈍化しましたが、場所を選ばない働き方をするノマドワーカーやフリーランスの間でワーケーションの需要は依然として高いです。
仕事と休息のバランスを求めるワーケーションの需要は、コストを抑えたい旅行者から見れば、民泊が宿泊先の選択肢として考慮される可能性が高いです。

4-3:2025年の大阪万博による民泊需要の増加
民泊ブームの一因として、2020年に開催されるはずだった東京オリンピックへの期待感が挙げられます。
しかし新型コロナウイルスの影響で予想された経済効果は大幅に下方修正されました。
それでも、2025年には大阪万博という大きなイベントが控えています。
特に大阪や近畿地方を中心に、再度外国人観光客や国内旅行客をターゲットにした民泊需要が増加する可能性が見込まれています。

5:コロナを経て、今後の民泊におけるデメリット

5-1:訪日外国人に対する依存度が高い
訪日外国人向けの民泊は、外国人旅行者の動向に大きく影響されます。
新型コロナウイルスのようなパンデミックや他の未知の感染症が発生すれば、旅行者の流れは大きく変わる可能性があります。
昨今の日本の観光業界が直面した打撃から考えても、民泊ビジネスは大きなリスクを伴うと言えるでしょう。

5-2:法律の変更による影響が大きい
民泊事業は法律の影響を大きく受けます。例えば、2018年の民泊新法により、営業日数に制限が設けられました。
また、コロナ禍による家賃滞納や倒産の影響で、金融機関によるローン審査が厳しくなる可能性もあります。
これらの規制や金利、返済期間の変化により、事業の利益が出るまでの期間が長くなる可能性もあります。

5-3:治安の問題
少子高齢化により、労働力不足を補うために外国人労働者の受け入れが拡大しています。
しかし、これにより、一部で治安の問題が生じる可能性もあります。
民泊事業者は、宿泊者が自身の物件を安全に使用できるように、適切な管理や対策が必要となります。

5-4:物件のリスク
不動産投資は、物件自体の問題、例えば老朽化や自然災害によるダメージにより、投資リターンに影響を受ける可能性があります。また、宿泊者による事故により物件が使用できなくなるリスクも存在します。
これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることが民泊事業成功のためには必要となります。

これらが新型コロナ後の民泊投資のデメリットです。
これらの要素を考慮に入れて適切な戦略を立てることが、リスクを軽減し、成功への道を切り開く鍵となります。

6:まとめ
この記事では、民泊の人気が高まった背後の理由と、新型コロナウイルス後の民泊事業の利点と欠点について解説しました。
適切な運営管理を行えば、民泊は通常の不動産投資に比べて利益率が高い投資手段となる可能性があります。
一方で、国内の動向や法制度の変化に大きく影響されるリスクも存在します。
これらの要素を踏まえた上で、投資を進めていくことが重要となります。

最後まで民泊投資ラボの記事にお付き合い頂き、ありがとうございました。

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