1:序論
民泊ビジネスに挑戦したいけれど、複雑そうな法律の壁が気になる。
また、既に民泊事業を行っているものの、利益を増やすのが難しくて困っている――そんなあなたに向けて、重要な「住宅宿泊事業法」、特に売上を左右する「180日ルール」について、わかりやすく解説します。
この法律が定める180日という営業可能日数。
この数字が一年間での稼働限度となるため、そのままだとビジネスの売上げ上限に直結してしまいます。
しかし、このルールを理解し、適切に対応することで、事業をさらに軌道に乗せることが可能です。
ここで、180日ルールを活かし、黒字化を達成する具体的な手法を一緒に探っていきましょう。
さらに、全年無休で営業可能なビジネスモデルの秘訣もお伝えします。
2:180日ルールって何?
民泊事業に関する「180日ルール」について詳しく説明しましょう。
これは民泊新法(住宅宿泊事業法)によって決められた制度で、年間の営業日数を最大180日までと制限するというものです。
この法律は2018年6月15日から施行され、民泊事業の枠組みを明確に定めています。
年間の営業日数が180日以内という制約があることはもちろん、民泊として適格な物件も特定の基準を満たさなければなりません。
それは設備要件と居住要件という2つのポイントに分けられます。
まず、設備要件では、台所、浴室、トイレ、そして手洗いが可能な洗面所が必要とされています。
これらは日常生活を送る上で欠かせないものです。
次に、居住要件とは、すなわち「生活可能な住環境」を提供できる物件であることが求められます。
つまり、ゲストが日常生活を送るのに適した設備が整った家であり、賃貸物件のように誰でも利用できる状態に保たれていなければなりません。
このような条件を満たした上で、民泊を運営することが可能となります。
3:180日ルールができた背景
「なぜ民泊には180日ルールがあるのか?」という疑問を抱いている方も多いかと思います。
このルールの背景には、ホテル業界の保護といわゆる「ヤミ民泊」の対策が存在します。
まずはホテル業界の保護です。
安価で利便性の高い民泊が急増すると、ホテルの利用者が減少し、その結果としてホテル業界が衰退するという懸念がありました。
特に、価格競争が激しい業界であるため、無制限に民泊が増え続ける状況を防ぐための一環として、この180日ルールが制定されました。
次に、「ヤミ民泊」への対策です。
不適切な民泊の運営により、近隣住民からの苦情が増えたり、ゴミの分別が正しく行われないなどの問題が生じていました。
これらの事態を未然に防ぐため、民泊事業の規制を強化する動きが強まり、それが民泊新法の成立に繋がりました。
これらの理由から、現在では厳格な条件下での民泊運営が求められています。
そのルールを理解し、法令に沿って適切な運営を行うことで、持続可能な民泊ビジネスを築くことができます。
4:こっそり180日超えて運営しちゃっても平気?
「民泊の年間運営可能日数180日を超えたらどうなるのか?」という疑問を持たれると思います。
実は明確な罰則が存在します。
具体的には、180日を超えて運営した場合、最大6ヶ月の懲役または最高3万円の罰金が科されることになります。
ただし、これは直接的に民泊新法から生じる罰則ではなく、旅館業法に基づく罰則となります。
つまり、旅館業の許可を得ずに無許可で運営した場合の罰則が、適用されるわけです。
このように、法律を無視した運営は厳しく罰せられます。
それゆえに、年間180日を超えずに運営することが、法令遵守の一部として重要であると言えます。
このようなルールを理解し、法令に従って事業を運営しましょう。
5:年間で運営する方法はないの?
「民泊を1年中運営したいけど、180日の制限がある…。何か良い方法はないかな?」と思っているあなたへ、実はいくつかの対策が存在します。
以下にその具体的な対応策を4つご紹介します。
①「「簡易宿所」にシフトする
一つ目は、自分の民泊を「簡易宿所」として運営する方法です。
これは一種のホテルと同じで、年間通して365日運営することが可能になります。
ただし、一定の要件を満たす必要があり、都道府県への申請や消防施設の設置などが求められるので、手続きは少々難易度が高いです。
②「特区民泊」を活用する
次に、「特区民泊」を利用する方法があります。
これは一部地域で民泊新法の180日制限がなく、年間通じて運営が可能な特例のことを指します。
また、消防設備等の要件も簡易宿所ほど厳しくないので、手続きが比較的簡単です。
ただし、この特例が適用される地域は限られていますので、自分の物件が対象地域内にあるかどうかを確認する必要があります。
下記に特区民泊の説明と実施されているエリアを挙げておきます。
特区民泊とは、特定の地域で民泊新法の一部を緩和することが認められている制度ですが、すべての国家戦略特区で適用されているわけではありません。特区民泊が許可されているのは、「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」に認定されている特定の自治体と地域のみです。
現時点で、特区民泊が許可されているエリアを一部抜粋して、挙げておきます:
千葉県千葉市
東京都大田区
新潟県新潟市
大阪府大阪市
大阪府寝屋川市
大阪府八尾市
福岡県北九州市
これらの地域では特区民泊の運営が可能ですが、エリアにより適用される条件や規制が異なるため、具体的な事業展開にあたっては各自治体のルールを確認することが重要です。
③「マンスリーマンション」への転換
180日の制限が過ぎたら、その後は「マンスリーマンション」に切り替えるという方法もあります。
これは、一ヶ月以上の長期滞在者をターゲットにした賃貸マンションで、家具や家電がすでに揃っています。
この形式にすれば、民泊と違って年間通して運営することが可能です。
また、長期滞在者を対象とするため、収益の安定性も期待できます。
④「レンタルスペース」の併用
最後に、民泊と「レンタルスペース」を並行して運営するという方法があります。
これは、部屋を時間貸しするビジネスモデルです。
ただし、こちらは民泊新法で認められていないので、簡易宿所の許可を得て運営する必要があります。
いかがでしょうか? 現状の法律制限をクリアするための、4つの具体的な対応策をご紹介しました。
ぜひ、自分の事業に最適な対策を見つけ、効率的な運営を行ってください。
最後まで民泊投資ラボの記事にお付き合い頂き、ありがとうございました。